狂信者こそ心に疑念を宿している。

Ryuto(リュート・スマイリー)のブログです。趣味の話とかしたい。

『ゴジラ-1.0』山さん!アンタやったな!(ネタバレあり)

 おい!!!お前ら!!!!!ゴジラ観たか!?!?!?!?

 いきなり音乃瀬奏ちゃんリスペクトから入ってしまいましたが、実際観た直後はこのくらいのテンションでした。山さん!!!アンタやったな!!!

 


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 というわけでゴジラ70周年記念作品、ゴジラ-1.0』公開初日にIMAX初回上映を観てきましたよ。ゴジラさんお誕生日おめでとう!!!

 実は今年、とうとう新潟にもIMAXのスクリーンができましたので、それなら今回はIMAXで見る! と決めていました。一応、東京とか仙台でIMAXを利用したことは何度かあったんですが、ゴジラ映画をこれで観たのは初めてかな。祝日であることを踏まえてもかなり混んでました。新潟の映画館で満席になることはイベント以外ではほとんどないですが、8割くらいは埋まってたはず。

 かの『シン・ゴジラ』から早7年、あの時からゴジラを取り巻く状況はかなり変わりました。当時はレジェ版こそあったものの「今回失敗したら国産ゴジラもうダメでは」みたいな空気の中での公開だったので、初日は尋常ではない緊張感に包まれていたのを覚えています。蓋を開けてみたらシンゴジは大成功、その後モンスターバースも順調にヒットして……と、一見すると「ゴジラ、盛り上がってんな!」という空気が続いてたと思います。実際、10年くらい前の氷河期とは比べものにならないくらい盛り上がってました。

 が、一方で「次の国産ゴジラどうすんの?」という疑問は誰もが薄々思っていました。パンフ読んだら案の定東宝も迷っていました。そりゃそうだ、あんな化け物ヒットした後の作品なんて貧乏くじ過ぎる。一応アニメ版が2種類制作されたりもしましたが、やっぱファンとしては実写が観たい。でも難産なのは誰が見ても分かる。

 そんな中、多くのファンが「今の日本の映画監督なら………」と想像していたのは山崎貴監督だったと思います。本人のゴジラ愛はみんな知ってるし、『続・三丁目の夕日』のゴジラシーンは話題になってたし。しかし一方で山崎監督といえば「日本の駄目なビッグバジェット映画を撮りまくってる人」「ドラ泣きの人」みたいな悪評がついて回っていた人で、そんな人にゴジラを撮ってほしくない……と、少なくない人々が複雑な感情を抱いていたはずです。というか俺もめっちゃ思ってました。

 明確にその空気が変わったのはこの映画の時なんじゃないかと思います。


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 2019年公開のアルキメデスの大戦』、「今回はすごく良かった」という評判を聞いて観に行ったんですが、実際すごい面白かった。白組による戦艦大和VFXのクオリティはもちろんですが、物語も変な美談にせず完成度が高かった。ちょうど東京五輪前で、山崎貴監督がその開会式に関わることになっていた時期(その後退任)だったので、大負けが確定している国家事業に驀進する人々を描いているというのも妙に現代とリンクしていました。物語自体、第二次大戦前~大戦中が舞台なので今回とも重なる部分が多いです。

 で、これを見て少なくないゴジラファンは思ったわけですよ。「山さん、ゴジラいけるんちゃう……?」と。しかも、ついさっきパンフ読んで知ったのですが、他ならぬこの作品の制作中に山崎監督の登板が決定していたんですね。なんつータイミングだよ。

 そんな流れだったので、山崎貴監督が新作ゴジラを撮ると判明した時、世の中的には「ドラ泣きとかユアストーリーの山崎貴かよ……」みたいな空気も一部ではありましたが、個人的にはかなり期待値が上がりました。しかも今度のゴジラは1940年代が舞台らしい(プロモが始まるかなり前から、エキストラ募集の情報でこの辺りの時代設定はファンに知れ渡っていました)。いいじゃん。『アルキメデスの大戦』がつくれるならいけるはずだ。山さん、頼むぜと。

 前置きが長くなりましたが、そんな流れでようやく観られた『ゴジラ-1.0』、本当に良かった。今回は序盤からから出し惜しみなくゴジラが暴れますが、核の影響を受ける前のゴジラの姿(ゴジラザウルスとは全く違う)が見られたのも嬉しいサプライズ。今回のゴジラ、シンゴジの何考えてるか分かんない感じとは違って、明確に人類絶対殺すマンと化しているので、殺意フルスロットルで襲ってくるのが怖い。時代設定に合わせ身長がダウンサイジングしているのも効果抜群で、いやこんなん襲われたら死ぬよ! としか思えない映像が満載でした。あと監督が大好きなスピルバーグ要素もばっちり。物語的にはすっごく『ジョーズ』だったし……そういえば去年もジョーズ』っぽい傑作映画がありましたな。


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↑どこが『ジョーズ』っぽいかは言えないけど傑作。

 今回は戦争の象徴という色が強くて、これも時代設定とマッチしていていい。一方で中盤の銀座破壊シーンで派手に暴れた後の熱線・爆発・キノコ雲と、核要素も(というか本作の場合は直球でヒロシマナガサキのイメージか)強烈に怖い。熱線発射の直前の描写、呆然と立ち尽くす人々を見せて「この人たち、これから死にます」とアピールしてくるの嫌すぎる(褒めてます)。爆発の衝撃波でいろんなものが吹っ飛んだあと風が逆流する描写もゴジラでは初めて見た気がします。完全に余談ですが、自分の熱線でできたキノコ雲を眺めるゴジラ「え……何これ……怖……」とか思ってそう。

 一方で懸念していた人間ドラマですが、こちらも個人的にはそんなに気にならなかった……どころか、特に後半はすごいノせられてしまったというか。確かに台詞が直接的過ぎるなとか、特に前半はかったるいな~と感じるところもあったのですが、キャスト陣の熱演と鬼畜展開に説得されました。銀座破壊シーンの直後の神木くん、あんだけ追い詰められたらそりゃあんな反応にもなろうて……。絶叫自体もありがちな「うわああああああ!」みたいな感じじゃなくて、あまりの出来事に思考が停止している人の声って感じがしてそれほど違和感を覚えませんでした。もちろん、これでも人間ドラマが過剰だと感じる人はいそうですが。

 辛うじて掴んだ幸せが壊された後の描写も結構食らってしまって、「あれ、山崎貴監督作品の人間ドラマで心を動かされてる……?」と自分で自分の反応に驚きました。これは正直、僕自身が2年程前に結婚したのもあると思います。昔だったらこんなにショックを受けなかったかも。

 キャスト陣もみんな良かった。神木くんも浜辺美波さんも見事でしたが(そういえば浜辺美波さんは『アルキメデスの大戦』も出てましたね)、敢えて一人挙げるなら安藤サクラさんでしょうか。この人が出ると画面が引き締まるし、市井の空気がばっちり伝わってきますね。やっぱすげぇわこの人。

 この辺り含め、政府側の描写はほとんど無しで、巨大な災難にあった市井の人々の感情を描くという点では、本作は完全に『シン・ゴジラ』に勝っていたと思います。何より終盤、吉岡秀隆さんが「この国は人の命をおろそかにし過ぎた」という台詞を言っていたのは非常に良かった。時代設定的に戦争の美化というか、もっというとナショナリズムを美化する物語にすることはいくらでもできたと思うし、そっち方向にいったら嫌だな~と思ってたんですが、当時を再現しつつも戦時中のこの国の価値観を徹底的に否定したのは、ゴジラ映画の原点に立ち返った感じがして何より嬉しかったです(このテーマ部分についても、パンフのプロダクションノートでしっかり書かれていましたので興味ある方はぜひご一読を)。

 クライマックスの戦い。『シン・ゴジラ』に続いて、今まで見たことないタイプの最終決戦。作戦自体も超兵器ではなく、時代設定的にも無理を感じず「なるほどその手があったか!」という感じで、まだゴジラでこんなフレッシュな描写ができるのかと驚きました。あと伊福部昭のテーマがばっちり流れますが、このテーマってゴジラが出現して進撃したり、街を破壊したり、とにかくゴジラが攻め側に回るシーンで使われることが多いので、逆に人類側が攻勢をかける時に流れたのが新鮮。というかこの使い方、もしかして山さん初代『ゴジラ』意識してる? 初ゴジの時はこの曲、ゴジラのテーマじゃなくて防衛隊のテーマだったんですよね。

 もちろん、思うところも無いわけではないんですよ。さっき書いた日本映画あるある演出はまぁいいし、ラストのちょっとご都合主義を感じるアレとかも「この流れならやってもいいよ! てか敷島を救ってくれよ!」って気分だったから気にならなかったんですが、個人的に一番気になったのは、終盤に入る前にクライマックスの展開を予想できる要素が多過ぎること。具体的に言うと安全装置の下りとか電報とか。あのシーンでそんな話したらそりゃああなるって予想つくし、電報届いたらそういう流れになるでしょ。サプライズやるならしっかり隠してよ! こっちはベタだろうが何だろうが全力で喜ぶから!

 と、若干残念な点もありますが、そんなのは本作のトータル5億点に対して-1.0点くらいの影響しかないので気にしません。白状しますが今回、ラストで泣きました。山崎貴監督作品で。ゴジラ映画の人間ドラマで。ゴジ泣きです。山さん、負けたよ。アンタの作ったゴジラ最高に面白かった。

 あと他に心配なことがあるとすれば、今作が傑作だったことでまたしても「次の国産ゴジラどうすんの?」問題が浮上しそうなことです。また7年も待つのはさすがにキツい。東宝さん、そろそろVSシリーズの頃みたいに1年ごとくらいで怪獣プロレス量産してくれてもいいのよ? さすがにダメ?

 

おまけ(その他思ったこと)

・大戸島のゴジラ襲撃シーンはすごくジュラパでしたね。あのシーンで噛みつきはしても人間は決して食べないゴジラレギュレーション守ってる感ある。

・中盤のゴジラVS高雄戦、俺の心の中のマイケル・ドハティが「『アルキメデスの大戦』は面白かったけど、ゴジラが出てたらもっと最高だよね!」と言っていました。多分山さんもそう思ってたんだと思います。

・神木くんの「俺の戦争はまだ終わってないんです!」、完全にランボーそういや今年は『君たちはどう生きるか』もランボー2リスペクトな映画でしたね。みんなランボー大好きだな!

・クライマックスのアレは某夜明けをちょっと思い出した。民間人主導ってのもあって。

・個人的にGMKのラストは「ゴジラってかフランケンシュタイン(怪獣の方)みたいだな……」って感じであんまり好きになれなかったんですが、今回のは設定的に飲み込みやすかったので良かったですね。今作、GMKリスペクトもかなりあったな〜。

・さらに追記。キャストに女性少なすぎ、ロールにハマりすぎ問題は実際感じました。時代設定的に仕方ないという見方もできるが、他ならぬ1954年公開の初ゴジで女性の国会議員(菅井きん)が出てるので、そこに繋がるようことを想起させるような本筋に絡む女性の登場人物はいても良かったのではと思う。

・近年はいろんな監督のいろんなゴジラが見られているので、ファンの側も「ここは合わなかったけどここは好きだった」みたいな割り切り方ができるようになったのはいいことだと思う。コンテンツの懐が広いのは幸せなことですね。

 


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↑もちろん本作は単品で見られる内容ですが、もし観られるなら事前に初代『ゴジラ』を観た方が確実に楽しめます。というか傑作なんだから本作関係なく観て。あと『アルキメデスの大戦』も。

 


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↑モンスターバース版ゴジラは今月からドラマが始まります。見たい。

 


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↑こちらも本日公開された「ゴジラの日」特別映像。メガロかっけぇ。

 


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↑こちらもゴジラフェスで本編が公開。ゴジラの過剰供給でオーバードーズ

 


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ゴジラ、ハッピーバースデー!