狂信者こそ心に疑念を宿している。

Ryuto(リュート・スマイリー)のブログです。趣味の話とかしたい。

『エターナルズ』

 今週は金曜と日曜に映画を観てきたのですが、記事はとりあえずこちらから。これまたあやうく見逃すところだったMCU最新作『エターナルズ』です。


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 何と言っても公開前から『ノマドランド』のクロエ・ジャオが監督ということで話題でしたが、いざ劇場で観てみると思った以上にクロエ・ジャオ映画でした。予告では何となくMCU:クロエ・ジャオ比率が6:4くらいかなと思ってたのが実際には3:7くらいだったような。何の比率だよって感じですが。

 そもそも僕はクロエ・ジャオ作品を『ノマドランド』しか観ていない身なのでそんな詳しいことは言えないですが、それでも「クロエ・ジャオっぺぇ!」と感じるアレは何なんでしょうね。逆光強めな映像はもちろんなんですが、世界の見え方とか肯定感がクロエ・ジャオっぽい気がする。

 この作品の色んな描写については(いちゃもんレベルのものも含め)賛否両論分かれていますが、個人的には同性愛者や聴覚障害者も含めた色んな人種が当たり前のようにいるヒーローチーム、ってのはやっぱいいなぁと思いました。同性愛や聴覚障害にストーリー上の必然性がないという声も見ましたが(既に指摘されている通り)現実の世界における同性愛や聴覚障害は存在する理由なんて別にない(そしてある必要もない)のだから、彼らが当たり前にいるヒーローたちが生まれたというのは意義があると思います。あと野暮なこと言うと、我々は『ジョン・ウィック チャプター2』の時既に手話で会話する戦士が超カッコいいことに気づいていたではありませんか。今回のマッカリも超スピードで戦闘した後手話で会話してるの、なんかすげー良かったなぁ。

 あと個人的にはやはりギルガメッシュを演じたマブリーことマ・ドンソク兄貴がMCUデビューした事実に感動せざるを得ない。僕がマ・ドンソク兄貴を知ったのは『新 感染 ファイナル・エクスプレス』の素手でゾンビと戦う超カッコいいお父さん役ですが、その後Twitterで韓国出身のフォロワーさんから「マ・ドンソクって韓国だとこんなキャラですよ」と教えてもらったのがピンクのエプロン姿で満面の笑みを浮かべるマブリーでした。萌えた。あの出会いからそろそろ4年、エターナルズ出演決定の報からも随分経ちましたが、彼がMCUの世界で化け物相手に張り手を放つ姿には思わずこみ上げてくるものがありました。現代に入ってからの登場シーン含め、本作におけるマ・ドンソクの使い方は5億点満点としか言いようがない。


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↑主演作『犯罪都市』におけるマブリー。恐らく世界で唯一この展開に説得力を持たせられる男。


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↑韓国におけるマブリーのパブリックイメージ。あまりにも可愛い。

 マ・ドンソク……じゃなくてギルガメッシュのパートナー的存在であるセナを演じてるのがアンジェリーナ・ジョリーなのも本当に良かった。今年は『モンタナの目撃者』含め、ジョリ姐の株が急上昇する年だったと思う。武器を構えるジョリ姐のカッコ良さよ。

 一応言っておくと、話運びに関しては若干引っかかる部分も無くは無かったです。個人的にはイカリスは最後アレでいいの? とちょっと思ってしまいました。展開的に彼が何もしない、という訳にはいかなかったんでしょうが。

 あと、敵であるディヴィアンツが設定の割にあんまり強そうに見えなかったのもちょっと。いやもちろん、現実にあんなのいたらヤバいでしょうし、エターナルズがディヴィアンツ絡み以外では出動できないのも作中でちゃんと理由付けされてたので話の筋としては理解できたんですが、サノスやらエゴやらやばい悪役が散々出た後だとどうしても小物感を感じてしまったんですよね(MCUは『シビル・ウォー』あたりから悪役のパワーインフレを抑えつつキャラを立たせる方向に進んでたと思うので、それに逆行してる感じが余計に引っかかったのかも)。

 あと、これは自分の意見ではなくTwitterでの否定的意見ですが「エターナルズの”地球人が好きになったから守る”という理屈はひっくり返せば”好きじゃなきゃ守らない”ということであって、それは多様性のメッセージとしてどうなんだ(要約)」というのも見かけて、それはそうかも……と少し思ってしまいました。ただ、『ノマドランド』を見る限りクロエ・ジャオはこの手の描写について”映画でメッセージを訴える”というよりは”当たり前にそこにいる”という形にしてることが多い気がするので、あの辺の描写も何かのメッセージとしてやってるというよりも、人間的な考え方をする存在としてのエターナルズの描き方だったんじゃないかなーと……この辺あまり考えが固まってないです。

 いずれにせよ、今の時代にこういう異色なヒーロー映画が生まれたのはいいことだと思いました。雑なまとめ方ですみません。