狂信者こそ心に疑念を宿している。

Ryuto(リュート・スマイリー)のブログです。趣味の話とかしたい。

宝田明さんが旅立ち、ゴジラは残る。

 俳優の宝田明さんが14日に亡くなられました。

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 東宝俳優の中でもレジェンド中のレジェンドであり、初代『ゴジラ』をはじめとするゴジラシリーズ常連俳優としても有名な方です。僕も宝田明さんを知ったのはゴジラシリーズからでした。同世代ならみんなそうでしょうが、多分『ゴジラVSモスラ』が最初に見た宝田さんかな。"俳優・宝田明"として最初に認識したのはもっと後ですが。

 馴染みのあるお姿は平成シリーズ以降なので、僕から見た宝田明さんは『VSモスラ』や『FINAL WARS』での"カッコいいお爺ちゃん"というイメージでした。その後も度々テレビ番組やゴジラ関連のイベント映像でお姿を拝見してましたが、いくつになってもダンディかつチャーミングで常にカッコ良かった。優しそうな温かい笑顔で"同級生"ゴジラのことを語ってるお姿が印象的でした。あまりにも元気なので、失礼ながら「この人がヨボヨボした姿になるのが想像できん」と思っていたのですが、本当に生涯現役のまま(4月公開予定の映画『世の中にたえて桜のなかりせば』で主演・プロデュースまでされている!)旅立たれてしまったのがある意味、宝田さんらしいとも思えたり。

 このニュースもあって、今日は一日ショボくれていたのですが、帰宅したらやっぱり見ずにはいられませんでした、初代『ゴジラ』。


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 何十回も鑑賞しているものの、見るのはちょっと久々、というか配信で見たのは初めてだったかもしれません。ものすっごく当たり前ですが配信ってDVDより全然綺麗ですね。それもあってか、宝田さんと平田昭彦さんはえげつないくらいカッコいいし、河内桃子さんはえげつないくらい美しかった。宝田さん・平田さん・河内さんの御三方が並んでいる姿を見ると、「この3人とも、もうこの世から旅立たれてしまったんだよな……寂しいな……」とか考えてしまい、ちょっと泣けてきたり。

 それにしても。僕が初代『ゴジラ』を最初に見たのは高校生の頃なので、もうかれこれ20年近く前なのですが、歳を重ねていく内に、この映画に対する自分の印象もちょっとずつ変わってきたことに今日気づきました。高校生の頃は白黒映像や真に迫った演技・演出に対して心底怖がり(そもそも小さい頃見れなかったのも「怖い映画」という印象が強かったせい)、大学生になってからは当時の社会背景と照らし合わせたりして「やっぱ戦争経験者が作る映画はすげーな!」と感じ。社会人になり劇場でデジタルリマスター版を鑑賞した時は、臨場感抜群の映像と音響で戦争を疑似体験しているような気分を体験しました(高校生の頃以来、久々にゴジラが怖い!」と思った)。そして今日鑑賞した初代『ゴジラ』は、実際に戦争を体験した人々が、その体験を元につくった悲劇の物語でした。なんか、どんどん冷静な目で見られなくなってきているというか、距離を置いて見られなくなってるんですよね。

 宝田さんが亡くなられたことで、本作の主要な出演者およびスタッフの中でご存命なのはゴジラ本人だけとなってしまいました(新吉を演じた鈴木豊明さんは現在消息不明とのこと。ノンクレジットだと佐原健二さんがご存命)。ご家族以外で一番悲しい思いをしているのは他ならぬゴジラなのかもしれません。

 宝田さん、今頃平田さんや河内さんと再会されているのかな。平田さんとは38年ぶりの再会だし、話したいことも積もりに積もってるんだろうな。3人で仲良く思い出話を交わしているといいなと思います。

 改めてご冥福をお祈りいたします。しがない一ゴジラファンですが、本当に尊敬しております。今までありがとうございました。

↑2年ほど前のインタビュー記事。ぜひ読んでみてください。