狂信者こそ心に疑念を宿している。

Ryuto(リュート・スマイリー)のブログです。趣味の話とかしたい。

『NOPE ノープ』

 怖い映画は苦手だっつってんだろ!

 はいっ、というわけで(いつもの)ジョーダン・ピール監督最新作『NOPE ノープ』観てきました。

 


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 最初にこの映画の存在知った時、まぁ「怖そうだし見なくていいかな……」とか思ってたんですが、公開するや否やTLにめっちゃいい評判が流れてくることに加え、撮影がホイテ・ヴァン・ホイテマ(『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』とか撮ってる名カメラマン)だとか、テリー・ノタリー(『猿の惑星』シリーズのロケット役とか『キングコング 髑髏島の巨神』のコング役とかやってる俳優)がチンパンジー演じるとか、そういうこっちの心をくすぐる情報をいくつも聞いてしまい、しゃーねぇ観に行くか! と、よく分からん腹のくくり方をしてしまいました。

 で、内容についてはネタバレが絶対ダメなタイプの映画なのであんまり書けないのですが、確かにめっちゃ怖い映画ではあるんですが超面白かった。でも怖い。めちゃくちゃ怖い。もう一度観れるかと言われるとかなり微妙。でも面白い。映画体験って意味では今年ベスト級かもしれない。これって楽しんでるってことでいいんですかね?

 あと、チンパンジーのゴーディね……。チンパンジーの話ってネタバレじゃないよな? ないよね多分? 最初から出てくるし。あれもまぁ、事前情報である程度知ってたんですがすんげー怖い。振り返って考えると直接的な描写は意外とないんだけど、でもあそこで起きてしまってる"奇跡"含め怖過ぎで、ずーっとあの辺りはいつでも目を閉じれるようにしながら観てました。チンパンジーによるあの手の事件は、元々『猿の惑星 創世記』観た時に読んだ関連情報とかである程度知ってたのですが、だからって怖さが薄まるわけでもなく(というかむしろもっと怖くなった)。

↑監督がアップしていた、劇中に登場するホームドラマ『ゴーディ 家に帰る』オープニング映像。なんかもうこの時点でこえーよ!

 

 本筋とは一見関係なさそうなゴーディの話も、本筋のUFOの話(UFOは言っていいよね?)も、"見る/見られる"関係性の話ということで、”見る”“撮る”という(ある種暴力的な)行為が作中でいろんな事態を引き起こしていて、まぁ怖い(そんな自分も映画を"観て"いる!)。それに対して主人公がいわゆる陰キャで人の視線を避けがち、コミュニケーション下手な人なのも新鮮で、なんかそれがむしろ後半になって頼りがいがあるように見えてくるのも良かったです。というかほかの登場人物も良かった。『ゴーディ 家に帰る』の子役でテーパマークを経営しているジュープは複雑で深いキャラだったし(このテーマパークの微妙な寂れ具合も絶妙)、主人公とは対照的な妹も輝きまくってたし、家電量販店の兄ちゃんも清涼剤だったし、名カメラマンのおじさんはどうかしていた。

 真相を知ると「えっ、じゃああれって序盤からずっとああだったの?」って気になって仕方がないし、劇中に籠められたディテールも多分一回見ただけじゃ気づけてない場所が多々あると思います。個人的に感想ツイート漁ってて一番「あー!」ってなったのはアレが受け付けられなかったのがレインボーの旗だったところ。なるほどね……っていう。

 (怖いので)もう一度観るかどうかは微妙。でも間違いなく面白かったし、終わり方も爽快で後味は悪くないので絶対観た方がいい。あとAKIRA』好きな人も観た方がいい。そんな映画でした。