狂信者こそ心に疑念を宿している。

Ryuto(リュート・スマイリー)のブログです。趣味の話とかしたい。

『シン・ウルトラマン』(ネタバレあり)

 またしても鑑賞してから記事を書くのが大分遅くなってしまいました。ここ1、2週間に私生活で色々とイベントが多かったのが主な理由ですが、ぶっちゃけ今回の題材が扱いがめんどくさいのもちょっとだけ理由です。3割くらい。4割かな。

 2016年4月14日、僕は『シン・ゴジラ』予告編を見てこんな感想ツイートをしていました(普段通りツイートを引用貼り付けしたかったのですが、はてなブログの仕様上昔のツイートをサルベージするのが難しそうだったので画像で貼り付けています。もしうまいやり方知ってる方いたら教えて頂けると嬉しいです)。

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 この後、本編公開後にアツい掌返しをしたのは言うまでもありませんが、当時のゴジラの状況、そして〝庵野秀明ゴジラ〟という爆弾(当時はあの『エヴァQ』後ということもあり「庵野、もうダメじゃない?」という空気が支配的だった……気がする)っぷりから、そういう流れを辿った人は決して少数派じゃなかったと思います……そうですよね?

 で、あれから早6年近く。なんだかんだで初日に観て参りましたよ『シン・ウルトラマン


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 僕の知識はゴジラと比べると明確にウルトラマン弱者で、シリーズはQ〜80までは書籍やレンタルビデオである程度の知識はありました(本作の予告でも「あ、ネロンガだ」「ガボラやんけ」と反応できるくらいには記憶が残ってました)し、パワードもレンタルで何話かは見ましたが、それ以降はティガをギリギリ見ていたくらいで、ダイナ以降のはさっぱりという感じです。

 なので、友人とのオンライン飲み会で度々ウルトラマン話になると持てる昭和ウルトラ知識で無理矢理ついていこうとするおっさんと化してしまいます。浦島太郎感半端ない(それはそれで楽しいのですが)。最近だと「80、あいつ元気なん?」と同窓会に参加しなかったクラスメイトの消息を尋ねるような会話を飲みながらしてました。

 まぁでも、今回は(初代)ウルトラマンだし、シンゴジ見る限り詳しくない層向けにちゃんと作られてるだろ! とたかを括って鑑賞してまいりました。

(以外、多少ネタバレあります)

 

 印象を一言で表すなら、「期待していた部分は期待通り楽しかったが、予想外にマイナスの部分が強過ぎた」という感じ。

 好きな部分を言うと、まずやっぱりあのオープニングシークエンス。シンゴジのオープニングでも似たようなことやってたので「まぁあのグルグルはやるでしょ」とは思ってたのですが、それをシン・ゴジラ→シン・ウルトラマンでやってくるのはいい意味で予想外でした。

 そしてダイジェスト的に描写されるシン・ウルトラQゴジラの着ぐるみを流用したという製作秘話をそのままCGでなぞってくるというどうかしているこだわりを見せたシン・ゴメスに始まり、マンモスフラワーやらペギラやらラルゲユウスやら。幼少の頃、怪獣図鑑で不気味なウルトラQ怪獣を眺めていた頃のワクワクを思い出しました。

 でも何より本作の白眉はメフィラス山本。演技一発でちゃんと地球人より格上の宇宙人に見えてすごい良かった(観測範囲で本作に否定的な方もみんなここだけは褒めていた)。瞬く間にミーム化した台詞も含め、ちゃんと信用できない(褒め言葉)。後述する悪い部分にも関係してしまうんですが、この部分だけは過去の遺産関係なく本作だけで面白いと感じられる部分でした。

 悪い部分。既にたくさん指摘されてますけど、やっぱ長澤まさみ関係の描写は全体的にキツかった。巨大化シーンで不必要に下から撮影してるのも「う~ん……」って感じでしたし(この辺、56年前のオリジナルよりも後退している)その後の臭い関連の描写とかもいらない。PC的によろしくないというのはもちろんなんですが、それ以前の問題としておっさんフェチズム感が強過ぎて所謂サービスとしても失敗してる感じが。メフィラスによるフォロー(って言っていいのか? あれ)が入ってるのは辛うじて救いですけど。っていうかやっぱメフィラスじゃん。この辺については、ぬまがさワタリさんが素晴らしい改善案を出されていたので、BD化の際はこちらをお願いいたしたく。

 あと後半に行くにつれてなんぼなんでも端折り過ぎじゃない? というのと、映像のクオリティ下がってない? と感じられるところが所々あり。天体制圧用最終兵器ゼットン、ゾーフィ含めて「そこ拾ってくるんかい!」的な面白さはあったんですけど、描写の駆け足感が否めないのと、やっぱ怪獣プロレスで絶望的なくらい強いゼットンさんが見たかったというのが正直なところ。オリジナル最終話のストーリーをなぞるならそこをこそ現代のクオリティで見たかったな……。今回の1戦目のマンVSゼットン、なんか動きも含めてRPGゲームのデモ戦闘シーンを見てるような感じがあってちょっと残念でした(デジワー3のラグナモン戦あんな感じだったよね)。人類の叡智を集めて対策を練るシーンも、シンゴジ並みにしっかりやってたらかなりアツい展開になってたと思うんですけども。「まんまシンゴジじゃん」ってツッコミはありそうだけど、いいじゃんそれで。

 あと所々、なんかカメラ映像がめっちゃ荒かったような気がしました。あんまりそういうの気にならない性格なんですが、なんか「ぼや〜ん」って感じで、予告編でも使われてる長澤まさみのアップとか、主に禍特対関連で妙に気になってしまい(iPhoneで撮ったって話もTwitterで聞こえてきたけど、どうなんですかね。だとしたら予算の問題)。出演者繋がりで言うとシンゴジの斎藤工出演シーンも映像荒かった記憶があるんですが、あれはタバ作戦中の戦車内なので有事の時の映像っていうのもあり、逆に気にならなかったというか緊迫感を増す要因になっていたような。本作のケースはあの語り口とは違うのでやっぱり気になりました。

 いや本当、面白い部分は本当に面白かったんですけどね……なんやかんやウルトラQ怪獣目当てでパンフ買っちゃったし。ただ、良い所はオタク的な面白さ、ウルトラマン知ってるからの面白さみたいなところで、映画として割と基本的な部分に対する欠点をカバーできてるかというと……(だからこそメフィラス山本が例外的にめちゃくちゃ良いと感じた)。その辺が個人的な印象が否に寄ってる原因だと思います。画竜点睛を欠く、私の嫌いな言葉です。